原將人は文字通り、自分の人生を映画と、自分の映画を人生と、完全に等価なものとして生き、撮ってきた。
『焼け跡クロニクル』には、そこに原まおりの視点/視線が重ねられている。
ここにあるのは二重の「映画=人生」=「映画=人生」である。
いや、二重ではない。
ここには長男や双子姉妹の「生」も重ね焼きされているのだから。
この映画は、もっとも正しい意味での「ホームムービー」なのだ。
この映画は、ひとつの家族の複数の生を丸ごと収めた壮大な映画の予告編のようなものなのかもしれない。

―佐々木敦(思考家)